

スポッと履けて、スポッと脱げる。
スタートは1955年。
今から70年前の昭和30年(1955年)、ハルタでは当時オーダー靴として医師向けにのみに販売されていたドクターシューズなどのインドアシューズに着目し、後に「スポック」と名付けられる新型シューズの企画が立ち上がりました。 当時、革靴のデザインといえばレースアップタイプが主流で、紐靴はその都度紐を結び直さなければなりません。そこで室内外の出入りの多い職種、例えば僧侶や住職の方々にとって不便であり、スリッポンタイプの革靴に需要があるのではないかと考えたのです。
V字型のスリットが特徴的なデザインは、「スポッと履けて、スポッと脱げる」という利便性から「スポック」と名付けられました。発売当初は馴染みがなく、なかなか売れなかったのですが、日本人の生活スタイルに合った着脱のしやすさが功を奏し、口コミでその履きやすさが広まりました。その結果、一般にも広く認知され、最盛期には1日で360足を生産するヒット作となったのです。シューズボックスのイラストには室内外で働く職種の方々が描かれており、今もなお変わらず使用されています。
平成27年(2015年)には元々メンズ規格しかなかったスポックシューズに、レディース規格が誕生するきっかけが訪れます。それは1冊のムック本でした。紙面の1ページにスポックシューズが掲載され、その反響からメンズの小さいサイズを求める女性が続出したのです。これを受けて、足にぴったり合うものを提供したいという思いから、レディース規格のスポックシューズが誕生しました。
企画立ち上げ当初、特定の職域に向けられて作られたスポックシューズは、時代と共にその用途が広がり、現在ではファッションアイテムとしても愛され、日常の足元を支える定番アイテムとなっています。